あらすじ 30~40話
<過去からの逆襲 >
感想 30~40話 ①
<離間の計>
たった一つの希望
一方の梅長蘇(ばいちょうそ)は、
靖王(せいおう)を止めようと必死だ。
彼はまだ「離間の計」に気づいていないので、
靖王がなぜこんなに怒り狂っているのか分からない。
梅長蘇なしで衛崢(えいそう)を奪還する、と靖王は息巻く。
だが正面突破しか知らない靖王のやり方では、
相手の罠に頭から飛び込むようなものだった。
決して行かせるわけにはいかない。
話し合いを拒む靖王を説得するため、
しんしんと雪の降る中、梅長蘇は靖王府の前にたたずむ。
ここは私の好きなシーンの1つだ。
じっと靖王を待つ姿からは、
彼のまっすぐな思いが伝わってくる。
季節は真冬。
こんなことをすれば、
健康な人でも風邪をひいて寝込んでしまう。
病弱な梅長蘇には、命がけと言っても言い過ぎではない。
それだけ彼は、靖王に賭けている。
靖王を守るため、
梅長蘇が衛崢を切り捨てようとしたのは本当だろう。
そういうところは、
武将となるべく育てられた
戦場経験者だな、と感じさせられる。
彼は指揮官として、ときに非情な決断を下しても、
全体の結果に責任を取らなければいけない立場だった。
大局を見据える彼の思いは、
純粋な友情から行動している靖王とは違う。
親友を危険な道に引きずり込んだという意味では、
ひどい友だちでもある。
それでも、赤焔軍7万の無念を背負った彼にとって、
靖王は最後の希望なのだ。
林殊たちの無実を信じ、
皇帝にケンカを売るなどという馬鹿な真似をしてくれるのは
靖王しかいない。
そしてまた、赤焔事案を覆した後、
土台のくずれかかったこの国を建て直せるのも
靖王しかいない。
赤焔事案は、国の要だった第1皇子と赤焔軍を葬り、
国を憂いて声を上げた良心的な人々を一掃した。
皇帝に逆らう者として
ある者は処刑され、ある者はそれを恐れて逃げ去った。
その後、皇太子と誉王が派閥争いに明け暮れたため、
今の朝廷には上の顔色をうかがう者ばかりが幅を利かせている。
皇帝も自分の保身に終始して、民の生活に関心を示さない。
人は自分の求めるものを見せてくれる人についていく。
情に厚く、曲がったことの嫌いな靖王なら、
権謀うずまく朝廷でも公正を保ち、
心ある臣下を再び集めて
彼らに活躍の場を与えることができる。
そう梅長蘇は考えているのだと思う。
靖王は、権力争いのしわ寄せで苦しむ民衆と清官の希望でもある。
靖王を選んだ時、
梅長蘇が「あなたしかいない」と言ったのは
お世辞ではなく、本当のことだ。
梅長蘇として、林殊として、
自分たちの悲願を託せるのは靖王しかいないと彼は信じている。
そこに込められた期待のなんと重いことか。
彼らがどうやって絆を取り戻すかも見どころだが、
靖王の一途さといい、
相手を想うがゆえにすれ違い、傷つけあう2人を見ていると
胸が痛くなる。
あらすじ 30~40話
<過去からの逆襲 >
感想 30~40話 ①
<離間の計>