梅長蘇をとりまく人々
策謀のぶつかり合う復讐劇というと、
暗くて重い話だと思うかもしれない。
『琅琊榜』の場合、
メインストーリーは確かにシリアスだが、
笑いやホッと和むシーンも散りばめられている。
今回は、嵐の前の静けさという感じで、
穏やかなシーンが多かった。
ホームである蘇宅(そたく)の人々の前では、
梅長蘇(ばいちょうそ)も謀士の顔を脱いで、
くつろいだ表情を見せる。
外ではすました文人のふりをしているものの、
本来はいたずら好きで奔放な性格らしい。
ときには冗談を言って人をからかい、
またあるときは医者の言うことを聞かずに怒られている。
特に昔からの友人、蒙摯(もうし)には遠慮がない。
蒙摯(もうし)
蒙摯は、梅長蘇の正体を知る数少ない1人である。
皇宮を守る禁軍のトップで
武術では梁国一といわれるほど腕が立つ。
体格がよくヒゲも濃くて、
いかにも武人らしい見た目に反して、
いわゆる天然ボケのイイ人。
ともに帝位をめざす主従として、
緊張感のある梅長蘇と靖王の関係に
蒙摯が加わると、途端にコントめいてくる。
梅長蘇にとっては、
靖王との間をフォローもしてくれる
貴重なムードメイカーだ。
飛流(ひりゅう)
「東京倶楽部」 サイトより
もう1人の和みキャラは、梅長蘇の護衛をしている飛流だ。
10代の少年ながら、こちらもめっぽう強く、
並みの武芸者では相手にならない。
原作によると、幼いころから極東で
暗殺者としての無茶な教育を受けたという。
その影響なのか、なんとなく幼い印象を受ける。
年の割に言葉がたどたどしく、
好意も敵意もむきだしのまま自分を装うことを知らない。
あけっぴろげな笑顔を見せたり、
蒙摯に勝負で負けてへこんだりと、
素直な表情が子犬のようだ。
かわいがってくれる梅長蘇によくなつき、
護衛として一生懸命に彼を守っている。
こんな風に、梅長蘇のまわりには個性的な脇役が多い。
それも『琅琊榜』の面白さだと思う。